表参道ソフィアクリニック
Giovanni Segantini、1858年1月15日 - 1899年9月28日
1892年
アルプスの真昼 大原美術館にて所蔵。
1894年 悪しき母達(嬰児殺し) ベルデヴェーレ宮殿(上宮)にて。
ベルデヴェーレ宮殿(上宮)にて、存在感を放っている作品の一つです。
空虚だが美しい雪の世界。あたかも繭(まゆ)に絡みとられているかのような、あるいは繭から生まれ出てくる魔女のようにも見える。周囲も魔の世界となっているかのように木の枝がメタモルフォーゼしている。冷たい世界。朝日が昇っている。ロマンティズムの一つの極地である。細密描写となっている。
顔色の悪い嬰児がこの若い女性の乳房を吸っている。吸って離れようとしない。それから逃れ出ようかとするかのようにもがいている女。その肉体はまだエロスが滲んでいて、桎梏から逃れて、あるいは蝶のように羽ばたきたいのかもしれない。亡霊として頑強に乳房にしがみつく嬰児。彼女たちは自分のエロス的な欲望のために嬰児を捨てる「悪い」母親たちである。母親たちはその罪のために繭のようなものに縛りあげられるようにして亡霊の嬰児から逃れられない。