表参道ソフィアクリニック
聖母子と幼い洗礼者ヨハネと二天使
1468年
アカデミア美術館所蔵のボッティチェリの初期の名品の一つです。後の開花期と比べればいかにもキリスト教的です。というか逆に、ギリシア神話の世界を描いた作品よりも、キリスト教の作品のほうが多いです。
アカデミア美術館2019年
1470-1475
La Vierge et l'Enfant avec le jeune saint Jean Baptiste.
ボッティチェリのとくに素晴らしい作品の一つです。
Louvre2020.
清々しい印象の肖像画です。
赤色、薄茶色、黒という色彩の組み合わせが美しいです。
フチなし帽とカールした長い髪は、当時のフィレンツェの上流市民の男性に特有の装いだとのことです。
ルーブル美術館展 国立新美術館2018年
プリマヴェーラ
1482年頃 テンペラ 203 cm × 314 cm (80 in × 124 in) ウフィツィ美術館、フィレンツェ
・細かい。
・とても丁寧に描かれています。丁寧に描かれているのは、ボッティチェリの特徴でもあり、またルネサンスの特徴でもあります。との丁寧さは、職人技の延長線上にあろうかとも思われます。
・隅々までも細かい。
・ヴィーナスの誕生よりは線で描かれていない。
・やはりボッティチェリは近くから見るべき。遠くからでよりも、写真からよりも、近くから見るべき。単眼鏡で見ると特に良いようだ。
・近くから見ると、表情が奥深い。
・3人の女性のうちの一人。恋する女性の表情。
・ボッティチェリは恋する女性の表情を目撃して、その記憶に基づいてかいたのでしょうか。
・この女性に、目隠しをされたエロスが矢で射ようとしています。性愛の盲目性も表しています。これから本格的な恋に落ちるのでしょう。
・フローラは花を持っていますが、これは妊娠の象徴でしょうか。
・キリスト教がかかっていない。
・それが良い面でもある。
・当時としてはキリスト教がかかってないのは少ないかもしれない。
・戦争がはあまりキリスト教がかかってないとおもわれるのだが。また性愛がテーマになったものもあまりキリスト教が絡んでいないかと思われる。つまり、戦争と性愛はキリスト教が絡むことが少ないということかもしれない。
・当時も繰り広げられた愛の世界。
・性愛と美の神秘の世界。
・新プラトン派では性愛はどのように考えられていたのでしょうか。
・ウフィツィ美術館での最高峰の作品ではないかと思います。そればかりか、クワトロチェントの最高峰の作品のではないでしょうか。他と質的に異なるように思われます。
1483年頃、テンペラ
より細密な画像はウィキペディアにて、 ウフィツィ美術館、フィレンツェ
・髪が金髪である。この金髪は印象的で明瞭です。深い金色と明るい金色があります。とても美しい金髪です。
・プリマヴェーラとはことなり、ヴィーナスの誕生は線で描かれています。細くて繊細な線です。線で描かれているというのはこの作品の特徴の一つです。
・この時代あるいは過去に線で描くということがあったのでしょうか。ボッティチェリ特有の線でしょうか。
・日本画で描かれる繊細な線と似ていると描いた画家がいます(『フィレンツェ美術散歩』)。しかし、この絵には和風なところはないとみます。日本とは全く違う文脈で、線で描くことになったとおもわれます。
・自由愛。性愛を描いています。
・ヴィーナスの表情。穏やかで至福の表情です。
・ダンテのベアトリーチェ。そしてボッティチェリの時代のシモネッタ。
・そして、ベアトリーチェやシモネッタを裸にしたようにも見えます。
・半分は人間のようなヴィーナスです。
・手で上半身と下半身を隠しています。これは裸を恥ずかしがっているということでしょう。神であれば裸を恥じるということがあるでしょうか。人間的な側面があるから裸を恥ずかしがるのではないでしょうか。そしてまたブランカッチ礼拝堂のマザッチオの有名な『楽園追放』のイブが上半身と下半身を隠しているのとも似ています。しかしイブは激しい悲しみの表情です。それにたいしてヴィーナスは優雅です。
・古代彫刻では、やはり上半身と下半身を隠している女性像がありましたが、そこにも由来しているとおもわれます。
・プリマヴェーラよりも簡潔であり、より様式化されています。
・右手はドキドキ感も表しているのでしょうが、表情は穏やか。こういったことにも優雅さがあります。
・裸を恥ずかしんでいて、そしてフローラが布をかけようとしています。生まれたばかりのヴィーナスが裸であり、布をかけようとしています。
・まぶたを少し落としがちです。
・唇の描写が素晴らしいです。
・首元にかかる金髪の毛が一本一本描かれています。
・楽園とこちらの世界が分けられています。この絵画を見る人はこちらの世界であり、絵画の中は楽園のような神話的な世界です。
・神話の世界ではともかくも、観客たちの世界では裸ではいられません。
・こちらの世界から隠そうとしています。誕生した時に、垣間見せて、次に隠そうとしています。
・カップルの男女は自由恋愛。この男女共が口から風を送っています。
S10.20 APHRODITE "MEDICI VENUS "
Museum Collection: Galleria degli Uffizi (Uffizi Gallery), Florence, Italy
Catalogue Number: Florence Uffizi 548
Title: "Medici Venus"
Class: Free-standing statue
Material: Marble
Height: 1.55 metres
Context: Found in Rome
Original / Copy: Roman copy of Greek statue C2nd BC
Style: Hellenistic
Date: --
Period: Imperial Roman
SUMMARY
Aphrodite disrobed covering her nakedness with her hands.
ARTICLES
マザッチオ
楽園追放 カルミナ聖堂 ブランカッチ礼拝堂
madonna and child with saints dominic
1497
上の撮影は写りが悪いですが、暗いのでこんなものです。設置の雰囲気が伝わります。下の方が明瞭です。いずれにしてもこの作品の良さがわかります。
アルカイックな印象さえあり、独特な雰囲気になっています。
アカデミア美術館2019年
1500年−1505年
聖母子と洗礼者聖ヨハネ Madonna and Child with the Young Saint John the Baptist 1500-05年頃 ca. 1500-05 油彩/カンヴァス Oil on canvas フィレンツェ、パラティーナ美術館 Florence, Palazzo Pitti, Galleria Palatina e Appartamenti Reali
パッと見た目では、大味な感じのする作品です。そんなに精彩を放っていないのではないでしょうか。また、昔取った杵柄で描いているようにも思われます。丁寧に描かれ、うまいのですが、やはり大味な感じがします。
四角い枠に窮屈に閉じこめられたようにも見えます。
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2016年でパラティーナ美術館でみました。
画面の中で、人物像の収まり具合が、思ったほどせせこましくなく、馴染んでいるようでもあります。それでもやはり四角の中にとどめられているようです。
格調があります。
少し高い位置におかれているせいか、あまり大きく感じませんし、大味にも感じません。
この作品はボッティチェリの最晩年の作品ですが、どうもボッティチェリの工房で制作されたようです。どの程度ボッティチェリがかかわっていたのでしょうか。なおもサヴォナローラ(1493年に処刑)の余韻が影を落としているのでしょうか。そして三者はほとんど目を閉じて、イエスとヨハネは抱き合っています。哀調を帯びています。
夢のような一時の熱が冷めた後の喪失と哀悼の意とが現れているように思われます。