表参道ソフィアクリニック
パラティーナ美術館にて。公認ガイドP114
これはウルビーノ公国の後継者の肖像であり、当時18歳であったとされています。とても18歳には見えません。
落ち着いた静かないでたちで、立派な甲冑に身を固めています。
冷徹にして静かです。
大きな白い犬がいてそれに手をやっています。この犬は獰猛な目をしています。犬は忠実を表します。見るものたちを威嚇するかのようです。これもこの後継者の権威を高めるものでしょう。
ペニスキャップのようなものを装着しています。
総じて、豪華で、堂々たるいでたちであるといえるでしょう。
Portrait of Young Man wiht Lute
1532
ブロンズィーノの初期作の秀逸な作品の一つ。
リュートを手にしています。
ウフィツィ2019.4
これは実物は見ていません。
portrait of Lucrezia Panciatichi
1540-41
ブロンズィーノらしい大変印象的な作品です。緊張感があり、また威厳があってとても美しいです。
顔のグラデーションは極めて細やかで的確な写実です。人形的な表情とすこし固めの質感も迫力があります。これをマニエリスムとも言えるでしょう。衣装の襞の描写も優れています。
ウフィツィ2019.4
Uffizi, Florence
・この写真を見るとちょっとちんまりしていますが、実物は堂々と見応えのある作品でした。
・威厳があり、迫真の描写が際立っていました。
・手が比較的大きく描かれています。
・手の描写がとくに素晴らしいです。ブロンズィーノの手の描写の巧さがとくに目を引きます。
・この人物の異質な個性が表現されている素晴らしい絵画です。
・この作品を見ていると、ブロズィーノの代表作の一つではないかと思われました。
ウフィツィ2019.4
この時期にはとくに精彩を放つ素晴らしい作品が多いように思われます。『愛のアレゴリー』や、肖像画において、ひときわ優れた作品があります。
1545年 エレノーラ
ウフィツィ美術館(ガイドp171)
下の写真は自分による撮影。
・エレノーラのその次男の肖像画です。
・写真ではエレノーラの衣装は豪華で手が込んで文様はキラキラと素晴らしい描写ですが、実物でももちろん描写は豪華である程度細かいもののさほど精彩を感じませんでした。顔の描写については、エレノーラもその息子もいまひとつのように思われました。総じて、少しぎこちないくらい硬い印象でした。素晴らしいという実感がありませんでした。構図的には、向かって左側に寄りすぎてバランスが今一つのようにも思われます。写真と比べて、実物は意外に、他の作品より見栄えがしないようにおもわれました。いまひとつという印象でした。
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・もしかしてこの写真の絵ではなかったかもしれない。
・甲冑に身を固めています。その手は兜に手をやっています。
・攻撃的です。
・強さ、賢明さ、強い意志、政治家として強く生き抜く力などがみられます。
・運と力量の両方を備えた人物であるようです。
・メディチ家の兄脈の後継の断絶によって、わずか17歳(要確認)で、メディチ家の弟脈からメディチ家の当主担ったコジモ。有力者たちが、若いコジモを傀儡にしようとしたのも彼を選んだ理由だったという話もありますが、そのような目論見は全く外れてしまって、彼は強力な統治者になりました。そしてメディチ家で初めての君主の称号、「トスカーナ大公」を獲得しました。彼は「マキャベリ的」統治者とも評されることがあります(森田)。大変精力的で活動的であり、大変に有能な統治者の一人に数えられています。彼によって、メディチ家の地位と経済力は再び向上しました。
造形的にもやはり優れた作品です。冴え渡っています。そして他の画家やブロンズィーノ自身の絵画の中でも群を抜く出来です。
エロスは、ヴィーナスの乳首と乳房をつまんでいます。誘惑的なエロス。まだ思春期の少年が成熟した大人の女性を誘惑しています。道具は矢です。エロスは矢でヴィーナスを傷つけたのでしょう。母子くらいの年齢の違いがあるかもしれません。エロスはヴィーナスの息子であるという話もよくあります。ギリシア神話の世界では、近親相姦的であっても不思議ではありません。エロスは、ヴィーナスの性愛を刺激していますが、しかしヴィーナスの欲望の対象は、どこに向かっているのでしょうか。エロスは誘惑的にヴィーナスに口づけしていても、ヴィーナスのまなざしは、他の対象に向かっている、あるいはまだ具体的な欲望の対象が現れていなくても、まだ見ぬ対象に向かって開かれているようです。いずれにしてもヴィーナスの欲望はエロス以外の対象に向かっています。だのに、エロスには嫉妬が見られません。エロスは純粋に性愛の働きあるいは性愛の火付け役であって、自分の存在が対象とされなくても構わないようです。エロスは自分がヴィーナスの欲望の対象でなくとも、自らの存在が全うされているようです。エロスは、ヴィーナスの性的享楽への同一化を通じて、自らの存在と享楽を全うできるのでしょう。エロスの誘惑とは、欲望の対象に、主体を提供させること、そのような誘惑のタイプです。
ヴィーナスはエロスの矢を賞賛するように見つめています。ヴィーナスは、この矢の甘美な素晴らしい効果にうっとりしています。黄金の玉は黄金の林檎なのでしょう、つまり彼女が絶世の美女として選ばれた経緯を暗示しています。
この甘美な世界の背景には、恐怖、絶望、魂のグロテスクな奇形、病苦(梅毒という説もあったと思います)などが見られます。
(ナショナル・ギャラリー 2018年1月)
この作品をパッと見て、特段何のことか判りません。全体に少し色あせたような色の薄さ。青色は意外と鮮明ではなくて薄いです。全体に色はどことなくクスんでいます。そんな印象を受けるのは色が薄いからというのもあるでしょうが、コントラストの低さにも起因しています。全体に薄塗りです。
近づいて見ると、エロスの顔はブロンズィーノらしい描写の巧みさが際立っています。この作品の描写の中心は、このエロスの顔です。この細かさ、繊細さ、巧みさは最上級レベルです。その少しうつろな目差し、そして恍惚。大人のヴィーナスにはない、若々しさに含まれる魅力、そして唇の繊細さ。エロスはヴィーナスを自分の矢で刺して愛の世界に引きずり込み、引きずり込まれたヴィーナスをエロスは愛し愛撫します。
遠くから見るとヴィーナスが中心人物になっていて、エロスが脇役ですが、近づいて見ると、エロスが中心人物であり、ヴィーナスが脇役です。
女性の愛の快楽のために、ヴィーナスはもう体の力ほとんど抜けてしまっています。周囲はそれに反応しています。その反応の仕方には種々のものがあります。死、狂気、病気など様々の象徴があるといわれています。
National gallery, 2020.1.
Uffizi, Florence
・実物はこの写真以上に見栄えがしたと思います。
・細密です。
・手の描写がやはり優れています。
・硬質な表情を含めて、全体の雰囲気が醸し出されています。
・マニエリズムの画家の一人に数えられ、マニエリズムでは身体が縦に長めに引き伸ばされる傾向がありますが、この作品もその傾向があるかもしれません。長い首、そして指も長いです。しかし、この女性が首が長く指も長かったのかもしれません。つまり特には縦長に誇張されているわけではない可能性があります。
・ブロンズィーノの迫真のリアリズムの作品のひとつです。
・上のエレノーラの肖像より、こちらの方が目をひきました。
こうしてみるとより一層滑らかに見えます。
2019年4月ウフィツィにて
ブロンズィーノの肖像画の中でも印象的なものの一つです。でも写真の印象とは異なり、この作品の実物は、結構大雑把な描かれ方をしていような、そんなにブロンズィーノらしい細やかな描写は見られないという気がしました。でもやはりこの写真を見ても、良い絵ですね。ても、良いえですね。
(メトロポリタン美術館2018年)
サンタ・クローチェの薄暗い狭い部屋に設置されています。
非常に大きなサイズです。
一つ一つ見ていくと大分エロチックです。艶やかです。
教会にこのようなエロチックな絵画があって良いものでしょうか。おもえば、ここはフランチェスコ会の教会です。
ジュディスは、エレノアに似ているような女性です。これはcostanza di sommaiaの肖像です。ブロンズィーノは、下のような彼女の肖像も描いていました。
ナショナルギャラリーにある『愛のカテゴリー』にも似ています。
この作品はブロンズィーノ自身が描いたのでしょうか。それとも工房作品なのでしょうか。
パラティーナ美術館の公認ガイドp123
少しできが悪い感じもしましたが、一応ブロンジーノだとのことのです。
異質な変わった雰囲気が漂っています。 ブロンズィーノは異質な印象のするパーソナリティを描くのも得意です。
ちょっと表現が固めです。
手の描写は丹念です。ここはブロンズィーノらしいと言えるでしょう。
上の写真はとても細密で良くできていて、実物を見た時以上に出来が良くて見栄えがします。
サンタ・クローチェの他の作品に比べると、なめらかでリアルな出来栄えです。大聖堂の中に置かれていました。
ただ、内容的にはどうということもないようにさえ思われるのですが。