表参道ソフィアクリニック
30年代のアメリカで、特筆すべき最大の作家の一人がドワード・ホッパーです。彼はいわば都会派の画家です。アメリカの大都市の光景を簡素にそして独特の風情で描きます。
1934 New York Movie
着目点、構図、情緒など、やはり一皮むけた画家です。映画スクリーン、映画を見る人達、端で係の女性が物思いに沈んでいます。映画館の雰囲気を巧みに表現します。
この女性の物思いは、生活の悩みなのか、男性との関係に悩んでいるのか、いずれにしても都会の女性の悩みを象徴しています。都会の情感がよく表れています。
1940年 ガスステーション
何気ない一光景です。夕暮れ時でしょう。辺りは薄暗くなっていて、森は黒くなっています。明るい光と薄暗さと、暗闇が組み合わせられています。光と闇のコントラストも明瞭です。安心感をもたらせてくれる 文明の発する光に対して、自然の闇は不安も引き起こします。祖先がアメリカにやってきた時には生の自然のままでは危険を孕むものでしたので、本能的に文明の明かりは安心感をとりわけもたらすものであると思われます。当時は車社会が誕生して大きく発展してきていたのが、この絵画の背景にあります。
また、ただひたすらに毎日と同じ作業をしている男が描かれています。このガスステーションのオーナーであり主人なのでしょう。ただ実直に日常的な作業をしています。