表参道ソフィアクリニック
本を読む老女
1631年ー1632年
ダウはレンブラントの弟子の一人であり、この作品の画風もレンブラントに似ています。
まず目を引くのが老女の顔の描写がとても緻密なことです。とくにグラデーションが巧みです。老女の割には色つやがよいです。画家は、この老女の肌の描写に画家はとても高いモチベーションを持っていることがわかります。なぜ老女の肌の描写なのでしょうか。あるいはその色つやの良さ、あるいは人生を感じさせる、あるいは顔の写実描写に大きなやりがいを感じているようです。
全体に、穏やかな雰囲気を感じます。
手にしている大きな本は聖書です。この絵の中で大まかな字は読めますが、小さな字は読めるようには描かれていません。このページは「ルカによる福音書」19章だとわかっているとのこと。ここには胸腔が込められています。その教えは、この世の財産は貧しきものたちと共有するのがキリスト教徒の務め、というものだそうです。
プロテスタント国家になったオランダでは、福音主義により、一般の人々も聖書を読むことができました。また、国を挙げて教育に力を入れて、女性も多くが文字を読むことができました。
フェルメール展 2018年 上野の森美術館