表参道ソフィアクリニック
1871年にナポレオン3世が普仏戦争に敗れて第2帝政が崩壊し第3共和制が樹立されてから、第一次大戦にいたるまで、長い平穏な発展の時代が続きました。普仏戦争の復興に続く好景気であり、産業ブルジョワジーがさらなる繁栄をして、文化的にはもはや貴族的文化そのものではなくて、新しく自由な気風が求められました。この気風はフランスだけに限らずヨーロッパに伝播します。それが19世紀末のアール・ヌーヴォーでした。さらに20世紀にはいると、モダンなステージに第一歩を進めたアール・デコへと移行しました。このように新しい文化が開花し爛熟しました。
アール・ヌーヴォーは、短命で終わりましたが、デコは20世紀のモダン・デザインの出発点でした。短命だったアール・ヌーヴォーの時代は、貴族文化から抜け出て、新しい気風と活力に溢れながらも、どことなく死や終末も意識したような世紀末文化であり、上質で美しい造形を遺し、後の時代から懐かしさを込めて古き良き時代、ベルエポックと呼ばれました。
アール・ヌーヴォーは終わりを飾り、デコは始まりを飾ったと、ともいえるでしょう。