表参道ソフィアクリニック
ナショナル・ギャラリ−2018年1月撮影
実験中の様子を描いています。これは真空、あるいは無酸素の実験だと思われます。ガラスの容器に入れられた鳥は飛べなくなっています。窒息して死ぬのでしょう。いつも吸っている空気とはどのようなものなのかということを、そのいくつかの側面を見せています。実験者は狂気じみたような表情でこちらに眼差しを投げかけています。
手前の容器の後ろに光源があって、人々の表情が照らし出されています。悲しみ、不安、思索、好奇心、学問的関心、教育などを表す人物像です。
ナショナル・ギャラリ−2018年1月
18世紀の科学的精神を描く写実画です。とくに、この実験者は生命の神秘を科学的に説明するのですが、しかし彼は動物への憐れみの情を無視しています。この実験している男は、人間性の喪失を伴う、冷たく気味の悪い表情をしています。また優しく説明してものの通りを諭すように語りかける大人もいます。これが妥当なラインかも知れません。科学的な精神は冷酷さと気味悪さも伴っていて、更にそれはなぜかしら不可思議な神秘的なニュアンスも残しています。窓から見える月はこういった神秘への世界へと開かれています。科学の発展の草創期にはとくにこういった神秘性が現れやすかったのでした。それをある種の科学的なパラノイアとでもいうべきでしょうか。科学的精神はパラノイアックな神秘的世界も呼び込みうるのです。
National gallery, 2020.1.
テートギャラリー2018年1月にて撮影
この人物はJ.J.ルソーの著作を手にして、右人差し指でRousseauの名前を指しています。彼はルソーの愛好家であり、哲学者でした。画家は、この人物がルソーの自然の思想に共鳴していることを表そうとして、自然の中に横たわる姿として描いたのでした。
(テートギャラリー2018年1月)