表参道ソフィアクリニック
《エヴァ・プリマ・パンドラ》
1550年頃
死の象徴。
全体は死んだような雰囲気が漂っています。
遠景の街は(保存の状態の影響もあると思われますが)、灰色になっていて死の街のようにも見えます。まるでペストに襲われたような街です。前景の植物がおどろおどろしいです。
中景の茶色のツボは、怪物のような顔があり、グロテスクのモチーフになっています。この怪物は人間と獣の混合です。perversです。
パンドラが左手をかけているものはいわゆる「箱」ではなく、壺です。このツボは、妖しい雰囲気であり、また美しいです。この壺にかけている手には蛇が絡んでいます。手に蛇が絡み付いているのはエヴァとも掛け合わされていると思われます。原罪の発生したエヴァは、パンドラと同じようなカテゴリーにあり、本質的な繋がりがあるとみなされています。タイトルも画面中にエヴァとパンドラが併記されています。
右手は死の象徴であるドクロに手をかけてもたれ掛かっています。右手に持っているものは何かわかりません。また何を書いているのか分かりません。
パンドラの身体は美しくエロチックな身体です。パンドラの裸身の柔らかくうねる輪郭と繊細なグラデーションでエロティシズムの表現を勝負しています。パンドラが手にかけている壺の中に入っているものは直接には何も示されていませんが、いく種類も入っているとしても、その主要なものは、こういったエロスと悦楽でしょう。そしてそれには罪も伴っていて、その罪の象徴であるヘビが絡みついていて、まさにパンドラに噛み付こうとしています。