表参道ソフィアクリニック
廃墟を描くことも、ジャンルの一つになっていますが、廃墟のニュアンスが含まれる心的光景という観点も重要だと思われます。
Beyond the End: Ruins in Art History
2018年12月8日(土)~2019年1月31日(木)
December 8, 2018-January 31, 2019
この展覧会は大きく前半と後半に分かれています。
前半は実際の廃墟の光景を描く絵画です。これは18世紀から19世紀にかけて流行し、絵画の重要な一角を担うジャンルでした。それを「廃墟趣味」と呼ぶこともあります。
後半は、心象画つまり意識に浮かんだ姿や光景を表した絵画に表れる廃墟です。
そもそも、西洋絵画における廃墟のモチーフは、古代や中世など現在とは異なる過ぎ去った時代や文明や人間への憧憬や空想が誘因となっています。権勢を誇った栄華や人々の生活や活動は今では朽ち果てています。廃墟は自然に溶け込み、かなり絵になります。
シャルル・コルネリス・ド・ホーホ 《廃墟の風景と人物》17世紀 油彩、板 東京富士美術館
アシル=エトナ・ミシャロン《廃墟となった墓を見つめる羊飼い》 1816年 油彩、カンヴァス 静岡県立美術館
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ 《古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点》『ローマの古代遺跡』より 1756年刊 エッチング 町田市立国際版画美術館
Harvard Art Museums Giovanni Battista Piranesi
シュールレアリズムにおいては、廃墟のイメージが時空から引き離されて、心象風景の中に自由に取り入れられるようになりました。あるいは、たとえ画面の中に廃墟のイメージが出てこなくても、廃墟の匂い、ニュアンス、雰囲気を醸し出しているものもあります。こうしてシュールレアリズムでは、廃墟は重要な一面を形成しました。この展覧会では、とくにマグリット、キリコ、デルヴォーの作品がその例(下の3作品)として展示されています。
Paul Delvaux, The Sea is Nearby (La Mer est proche), 1965, Himeji City Museum of Art
ジョルジオ・デ・キリコ(工房) 吟遊詩人
ルネ・マグリット 青春の泉
戦前の日本のシュールレアリスト
榑松正利《夢》 1940年 油彩、カンヴァス 練馬区立美術館
北脇昇 章表 1937年
不染鉄 廃船 1969年
不染鉄は日本画家です。
大岩オスカール 《 動物園》 1997年 油彩、カンヴァス 東京都現代美術館寄託
元田久治 《 Indication: Shibuya Center Town》 2005年 リトグラフ
元田久治 Foresight: Shibuya Center Town
元田久治 Indication : Diet Building, Tokyo 3
元田久治「Revelation-KabukichoⅠ」
野又穫 交差点で待つ間に -Listen to the Tales- 2013 撮影=木奥恵三
麻田浩 旅・卓上 1992