表参道ソフィアクリニック
大変大きな作品であるがゆえに臨場感があり見応えがあります。こうして写真で見ると写真写りが悪いのか、取り立てて何か素晴らしいものが描かれているわけでもないようにも思われるのですが、実物はなかなかのリアリティある臨場感で拡がっています。細密で臨場感があり、色彩が少なく、画面全体は灰色に近いとともに、蒸気機関から来るらしい蒸気がたちこめることにより効果的に省略されています。水が張った道路に馬の影が映り、硬質に照っています。遠方はクリアで明るく、リアリティのある臨場感をより一層、遥か彼方に拡げています。この彼方がフォーカスであるとともに、この作品全体のフォーカスはこの馬にもあります。かなりいい作品です。新鮮な感覚でもあります。色遣い、筆遣いはとても巧みなようです。
もっともそういった面で突出していても、芸術的創造性の観点からはいま一つのようにも思われます。それでも新しい感覚のするリアリティであることは間違いありません。
プーシキン美術館展2018年