表参道ソフィアクリニック
1756~58年 に執筆され、1761年に刊行されました。当時熱狂的な反響をよびました。
19世紀のロマン主義文学の先駆けの一つとされます。もっともたとえば『マノン・レスコー』(アベ・プレヴォー 作)は1731年の作品であり、これもロマン主義の先駆けとされいて、18世紀全体にロマン主義の先駆けが点在していたのでしょう。
【あらすじ】
18世紀のジュネーブ湖畔を背景に男爵令嬢ジュリーと平民の家庭教師サン=プルーとのあいだの身分違いの恋愛を描きます。二人のあいだで交わされた手紙で構成された書簡体小説です。ジュリーは父親の反対でサン=プルーと別れ,彼女は父の友人の無神論者ボルマールと愛のない結婚をしました。ボルマールは農園クラランに妻子や小作人と独自の理想にもとづく共同生活を営みます。傷心のサン・プルーはイギリス人の貴族ボムストン卿(きょう)の援助により世界一周の旅に出ました。数年後彼がヨーロッパに戻ると、2人の過去をよく知っているボルマールは、 すべてを承知のうえで彼を自分の家に迎える入れました。激しい恋が若い2人の間によみがえりかけるましたが,信仰と美徳に生きるジュリーによって愛の情念は克服されるかにみえました 。 しかし偶然の事故で死ぬことになるジュリーは、死の前に、サン・プルーに永遠の愛を誓って死んでゆきました。
【あらすじを見て】
このあらすじを見る限りでは、なかなかよさそうです。他方では、とりわけなにか特徴的というほどでもないように思われます。意中の人と結婚できずに、父親が決めた相手と結婚することの悲哀という物語は古くからあります。むしろ変わっているのは、ボルマールが二人の事情を知って招き入れたところです。ここになにか人間の意外なほどの善き真実が見いだされるように思われます。
Illustration of Julie, or the New Heloise by Jean-Jacques Rousseau (1712-1778)
Le premier mouvement de la Nature.
Jean-Jacques Rousseaus de:Julie oder Die neue Heloise - Julie rettet den Sohn vorm Ertrinken. Stich des 18. Jahrhunderts
Charles-Édouard Le Prince, Promenade de Julie et Saint-Preux sur le Léman, 1824