表参道ソフィアクリニック
アントニオ・デ・ペレーダ
大きなサイズの作品です。卓越した描写力、表現力です。ルーベンスのバロック絵画の影響もあるのかとも思われますが、それよりもしっかりと硬質に細かく描かれています。これはスペインの戦勝画であり、スペイン軍がジェノヴァをフランス軍から解放して、ジェノヴァ総督がスペイン軍の司令官である公爵を出迎えている場面です。
画面はコントラストが高く、リアリティある描写です。ドラマティックで演劇的、演技的に誇張されています。左から光が差し込んでいますが、光と陰の描写にも注目です。
また背景のちょっとわざとらしいくらいの、演劇の舞台の背景画のような平面的な薄い色での描写もなかなか優れています。手前から遠景にかけて何層かになっていますが、それでも絵画全体としては平面的です。こういった作り物らしく平面的な演劇空間も含めて、なかなか味のあるいい作品です。
これが描かれたのはフェリペ4世の時代であり、フェリペ2、3、4となるに従って国力が衰えています。
プラド美術館展2018年