表参道ソフィアクリニック
1541 - 1614
ギリシア領クレタ島出身。
GRECO, GRAND PALAIS, 2020
エル・グレコの充実の展覧会。全体として観ると、グレコの良さがわかる展覧会でした。
一つ一つについてよりも、全体の傾向について総説のように書いた方がよさそうです。
雑な作品と丁寧な作品があります。雑に見えてもそれなりによいところもあるのでしょうが。一目で雑と分かります。支払い金額に応じてそうなっているのでしょうか。グレコの諸作品を観るにあたっては、数もたくさんありますし、いいものを拾って観た方がいいのかも知れません。
しかし、あまりよくない絵のようであっても、はっきりとした色遣いが新鮮です。画面全体が茶色に沈んでいません。そういった色彩の傾向は、変形した形象とも合致しています。色が鮮明なものは形も崩れがちであって、ちょっと派手な色遣いであるとともに、形もダイナミックに変形させています。かなり速いペースで描かれたのでしょう。これなら多作もできます。薄めで鮮やかな色彩を乗せるのも特徴的です。遠くから観るとそれなりに見栄えがします。かえってアッサリとして見やすいかも。深い思想というよりもより感覚的です。ある種の見栄えが大切という感性です。パッと見た目、あるいは遠くから観たときの印象が大切です。
GRECO, GRAND PALAIS, 2020
肖像画を並べるとなかなかの壮観です。そしてキリストの磔刑図を組み合わせるという展示の仕方にも注目です。当時の人々の信仰のあり方を垣間見るようです。居並ぶ当時の人々の顔、素晴らしい配置です。
カトリックの雰囲気がよく現れています。日常生活、地域社会、国家に至るまでカトリックの国です。
GRECO, GRAND PALAIS, 2020
GRECO, GRAND PALAIS, 2020
GRECO, GRAND PALAIS, 2020
1614 Le Christ chassant les marchands du Temple.
1600-1604
イタリアのルネサンスからバロックの端境くらいで、本場イタリアで絵画を学び、落ちこぼれたエルグレコ。流れに流れて、スペインにて開花しました。違う領域での開花です。イタリアでは無理だったかもしれません。
印象的な優れた色彩と印象的な姿勢。
この人物は横を見ています。なぜ横を見ているのでしょうか。
足元には、紙が落ちていますが、それは何でしょうか。
(メトロポリタン美術館2018年)
羊1605-10年 飼いの礼拝 The Adoration of the Shepherds
幼子イエスが光を発して人々を照らしています。横たわる子羊も光源になっているようです。敬虔さと祝福に満ちていてドラマティックな仕草です。
コッテリとした絵の具の使い方です。
この写真より実物のほうがコントラストが高いです。
グレコの諸作品の中でも特にいい方だと思います。いい描写です。
メトロポリタン美術館展 国立新美術館 2022年2月〜
躍動的で、柔軟、自在に描き、自由闊達。そして形態は随分と変形しています。
暗い世界の中で、天に祈り、希っています。
裸体の男女は何なのでしょうか。
太い輪郭です。
(メトロポリタン美術館2018年)
GRECO, GRAND PALAIS, 2020