ジェラール

フランソワ・ジェラール

　プシケの頭上には蝶が飛んでいます。蝶はプシケの象徴です。

　アムールは鷹のようにしっかりとした翼を持っていますが、翼は性的能力や力あるいは権力の象徴でもあります。美しく若く、柔軟な身体ですが、そのようなものを持っています。

　それに対してプシケは華奢で無力であり、少女としての心と体の美しさに特徴があります。その美しさを細部のニュアンスに至るまで美しく描いています。しかし、精神的な脆弱性も表しています。脆く、人形のようです。運命に対して受容するしかない。エロスの庇護のもと、生きます。

　またプシケは喜びと期待が滲んだ表情をしています。性と愛。プシケは処女あるいは処女を抜け出したところであり、性的な憧憬ないしは性的な満足が滲んでいます。

　蝶は、蛹が脱皮して飛び立ったのであり、それと同じようにプシケはアムールによって、性的に脱皮して処女から女になります。