表参道ソフィアクリニック
ルーブルの大ギャラリーの中央あたりにおかれよく目立つ、超巨大絵画です。この巨大サイズは「超」がつきます。クールベの部屋の向かい側です。
ローマにおける秩序と理性の力の低下が主要テーマです。
酒で酔いつぶれた人たち。不遜にも古い政治家の彫像に酒を勧める男。
性の退廃。女性の衣服は乱れ、半裸状態です。悦楽。男女の語らい。耽美的であるとともにそれは散らかっています。
眠りは理性の喪失です。そして絶望も表します。
総じて秩序は緩み切っています。秩序の乱れ、そしてここには崩壊現象が見られます。これは政治的な崩壊現象と連動しているようです。
かつて初代ローマ皇帝アウグスティヌスが求めた性愛の秩序。この初代皇帝は極めて統治能力の優れた有能な政治家でローマ帝国の政治体制を構築しましたが、彼は、性愛の秩序を求めました。しかしこのことには苦慮していたとも思われ、娘のユリアを追放したりもしました。この性愛の秩序とは、未婚女性の自由恋愛は責めないのでしたが、既婚女性の自由恋愛は禁じるというものでした。しかしこの作品では未婚と既婚の区別は明瞭ではありません。
古代彫刻群の諸作品から見て、総じて古代ギリシアの性の自由で天真爛漫な奔放と異なり、古代ローマでは性が倒錯的な色彩を帯びてきていて、頽廃的であることが、みてとることができます。
またこの絵画の内容の深みについてはまだ推し量り難いものがあります。
(2017年12月ルーブル)