表参道ソフィアクリニック
1594年6月15日 - 1665年11月19日
ルーブルにはこの画家の多くの作品が展示されています。プッサンの書作品をザーッと見ていくと、くすんでいて、似たような画風のものばかり並んでいて、あまり魅力的でないように思われます。
赤色と青色の対比、ダイナミックな動きの表現などからは、美術史の時代区分ではバロックの範疇に入ります。静的なものから動的なものまでありますが、動的な側の方へと傾きやすいです。
描かれるものは、物語、ドラマのある歴史画です。歴史画は当時の最高位のジャンルでした。それを題材にして、プッサンの描くものは、人間の歴史です。そのとき人間はどうであったのか、どんな行動をして、どんな感情を持ったのか、これが主要な関心事のようです。
プッサンは特に構図を重要視していたと考えられます。構図から見ると面白さがあり、その絵について何かしらわからせるところがあります。
ルーブルのものと近いですが、一見するとルーブルの方がよくできています。構図は大きくは左下から右上に向かっています。そして手前の黄色い男は、右下から左上に向かっています。こうして対角線に近い構図になっているとともにピラミッドの構図にもなっています。あるいは重層的なピラミッド構図です。混乱と安定の両方を形作る構図です。プッサンにおいては構図が特に重要であるということを示す作品です。
抵抗する男はほとんどおらず、父親が娘を取り戻そうと拳を振り上げていますが、黄色い男は、抵抗する男は殺すということで、短剣を振り上げて今にも振り下ろそうとしています。残忍な人間です。対角線の中心部あたりは、いくつかの要素が入り混じっています。この黄色い男の短剣の切っ先、天に向かって助けを求める女の手、戦う男が振り上げる剣などが交錯しています。
色は全体に落ち着いてます。赤、黄、青がポイントとなっていて、くすんだような色合いであり、茶系によって彩度は低いです。
(メトロポリタン美術館2018年)
vers 1637 - 38
L'enlévement de Sabines.
ローマによるサビニ女たちの略奪の光景を描いています。若い女を力ずくで奪っています。抵抗すべき若い男たちはいません。近景には逃げる男が描かれています。傍観している男たちはなんでしょうか。
うねるようなダイナミックな動きが表現されています。プッサンには、静的なものや動的なものがありますが、この作品はプッサンの動的なものの代表の一つです。極めて激しい動きを表現すべく、多数の構図の線が激しく入り交じっています。この多くの線は完全なアトランダムではなくて、秩序と崩壊の掛け合わせとなっています。
vers 1638 - 1640
Les Bergers Arcadie
アルカディアでの出来事を描いています。アルカディアで牧人たちが墓石を発見しました。彼らにとって死は未知のものです。
墓石には Et in Arcadia ego.「エト・イン・アルカディアー・エゴ」(「アルカディアにも私はいる」)と記されています。 この3人の若者は、この言葉を見ながら、三人三様の反応を示しています。
・探索する人。
・死を知り物思いに耽る人。
・疑問を呈して尋ねる人。
この3人がサークル、あるいは多角形を形成しています。彼らは死すべき運命から免れるでしょうか。
女神はこの牧人のサークルの外側にいて、真実を知ります。
1660-1664年
printemps
4連のうちの第1番目の絵画です。
中央にはアダムとイブが描かれています。
天地創造を行なった神は、老人として描かれ、雲の上に乗っかっています。神がいるということがすでに、ここが楽園であることを表しています。神は天地を創造した後は、表舞台からは退いてしまいましたが、ここでは未だにここにいるのです。
イブはアダムに呼びかけながらリンゴの木を指差しています。イブはアダムにリンゴのみを食すように誘っています。
このように見ますと、この絵画は特段これといって特徴的なものがないと言えるかもしれません
L'Hivers
この冬の場面は破局的です。大洪水というカタストロフが発生しています。
蛇がいます。これは罪ゆえの、大洪水だからです。
隠れたる太陽、そして稲妻が走っています。