表参道ソフィアクリニック
Henri Marie Raymond de Toulouse-Lautrec-Monfa
Grand Palais, Galeries nationales
- 9 October 2019 - 27 January 2020
TOULOUSE-LAUTREC - Resolutely Modern, Grand Palais, 2020.
・いかに天才とはいえ、さらさらと書いただけのものをそんなに有り難がって観るほどでもないようにも思われました。
TOULOUSE-LAUTREC - Resolutely Modern, Grand Palais, 2020.
写実の側に傾いた諸作品です。さすが巧いです。
OULOUSE-LAUTREC - Resolutely Modern, Grand Palais, 2020.
このような大きな展覧会では、全体がよく見渡せて、特徴を理解しやすくなります。
・画風が大きく変化します。若いのにもう枯れた感じになっています。荒んだ生活の反映でしょうか。梅毒で脳が軽く行かれているのではないか、とも。あるいは不摂生にともなう無精でしょうか。筆触が粗すぎます。乱雑な筆触、散乱気味な筆触です。このように形態把握に難点があるのは、脳の機能障害の影響もあるのかもしれないとさえ思われます。
・あるいは、それとともに、コンセプトが変わったのでしょうか。あるいは完成の理念に対するアンチでしょうか。綺麗に描くことに対するアンチでしょうか。このあたりの領域は、アカデミズムでもありますが、もう既に探求され尽くしています。小賢しさもあります。ロートレックはデッサンの段階から大きく、写実を崩しています。こぎれいな絵を描こうとはこれっぽっちも考えていません。荒んだ生活と脳機能と一体になった画風の完成です。現実を美化しないどころか、現実以上にアンチ美化をしています。ヘンテコなほどに誇張して変形させています。ここにある種のセンスを見せています。アーティストとしての現実の捉え方の造形を見せています。それは変革であり、写真でやられたことを繰り返さず、形象を変形させます。この変形は、解体に近いですが、解体というよりも変形です。またそこには孤独と空疎が滲んでいます。ことごとくが空疎が滲む変形ですが、そこに新たな華を付け加えて、おしゃれと粋(イキ)のセンスがあります。その粋とは、日本風の影響があるかもしれません。それは商業ポスターにもつながります。空疎が滲む変形には、いろいろなセンスを付加できるのです。シックさ。その巧みさ。空疎が滲む変形のなかに、センスのいい粋の美学があります。こういったことは、ロートレックの不幸な生い立ちとも関係しています。
1894
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