表参道ソフィアクリニック
北方絵画のクワトロチェントの前半期の最高峰の画家。
細密であると共にリアリズムを追求しています。
細密なリアリティにとことんこだわり抜いて、しかし、かえって硬くなりがちです。
1433年
1434
『アルノルフィーニ夫妻像』
背景の壁面中央には「ヤン・ファン・エイクここにありき」という銘があり、さらにその下の丸い凸面鏡にはヤン・ファン・エイクの自画像と思われる人物が小さく映りこんでいます。
——————————————————————
二人の人物と多くのアイテムを描く細密画です。事細かくきちっと描かれています。描かれた人物は中から上流階級、あるいは中の上くらいでしょう。二人はこれから夫婦になります。また子供を宿すというテーマもあります。夫婦の絆を結ぶにあたって、女性には貞節が課せられます。それは子供を産むということにも掛けられています。
この作品もまた、鏡の中に画家が描き込まれ、この絵を観る人がこの絵の中の空間に組み込まれるようになっています。私たちもこの絵の一部を為しています。そうであるから、高度の写真よりも効果的です。ベラスケスのは、幾人もの人たちがこちらを見るということを介して組み込まれるのですが、この絵の場合はこちらを見ていません。もしどちらかの一人デモが、こちらを見ていたならば、より生々しいものとなっていたでしょう。
それにしてもこの男性はなぜこんなに顔が白く、また冷たく、死に神のようなのか、この絵の絵解き要素は幾つもあるでしょうが、最大の不思議は、この顔のように思われます。この手は誓約しているとともに祈っていることからして、宗教的ニュアンスを湛えていて、当時は宗教改革前であることから、普通はカトリックのはずです。
イタリアルネサンスに先行する再早期におけるリアリズム描写であり、なおかつ絵画史上最高峰のリアリズム描写の一つです。それにしても写実のひきかえか、描写が硬くなりがちです。
National gallery, 2020.1
1434『ファン・デル・パーレの聖母子』 グルーニング美術館(ブルッヘ)
ヤン・ファン・エイクが後に埋葬される、聖ドナトゥス協同教会の司教座聖堂参事会員ヨリス・ファン・デル・パーレからの依頼で描かれた。
小さなサイズの二連画。超細密。
左側は、キリストの磔刑図。右側は、キリスト、大天使ミカエル、悪魔がそれぞれ支配する天上、地上、地下の3層構造。大天使ミカエルと悪魔はペアにもなっています。悪魔は悪いことをするのではなくて、神のもとで役割を担っていることがわかります。地獄において、奇妙な姿をした妖怪や、様々な責め苦に遭う悪人たちの描写は、ボスの影響が見られます。(メトロポリタン美術館2018年)