表参道ソフィアクリニック
1629年から1667年
オランダの画家
父はライデンで活躍したフランドル画家ジャック・メツー(1588年頃-1629年)。
手紙を書く男
アイルランド・ナショナルギャラリー、ダブリン
この作品はフェルメールに似ています。フェルメールよりも随分と明るくてクリアで、それはすこしエキサイティングなくらいです。
またこの作品は、下の「手紙を読む女」という作品と対になっています。恋文をやりとりする男女は、17世紀半ばのオランダ風俗画で流行したテーマの一つです。しばしば男女の対として描かれました。そもそもこのテーマは、ヘラルト・テル・ボルフによってうみだされたものであり、この作品もテル・ボルフの作品に着想を得ているとのことです。壁に掛かった絵画に描かれている山羊は「欲望」を、その額縁のモチーフである鳩は「移り気」を表していると言います。
しかし、メツーのこの「手紙を書く男」はとても優れていると思うのですが、この画家のそれ以外のいくつかの作品をみると、さほど観るべきものがないように思われます。
窓ガラス越しにみえる様子の描写が巧みで、とくに地球儀が美しいです。明瞭な印象の赤いタピも鮮やかで美しいです。
フェルメール展 2018年 上野の森美術館
Woman Reading a Letter
National Gallery of Ireland, Dublin
手紙を読むのに窓の側に向けて光を当てていますが、メイドに見られないように気を遣っています。
背景には、荒れた海を航行する船の絵がかけられていますが、「愛は荒れる海のようだ」という当時広く用いられた比喩であり、この二人の恋人の愛の苦悩と前途多難を暗示しています。恋愛は危険を伴うものだから気をつけるように、という教訓を表しています。しかしこの女性は、そのようなことには気にもかけていないかもしれません。
指ぬきが床の上に落ちているのに気がつかないようです。
またこの女性の上着は、フェルメールがお気に入りで6点以上描いていたものを真似ています。
フェルメール展 2018年 上野の森美術館