表参道ソフィアクリニック
プラトンが造形芸術について述べているは特に『ソピステス』という著作においてとのこと。
プラトンは造形芸術を「模倣術」とみなします。つまり造形芸術は、イデアを模倣している感覚的な現実世界を更に模倣しているのであり、「真理から三番目に遠いもの」です。「三番目に遠いもの」、とは価値としては三番目であり、現実にも劣るものということです。
そもそもイデアの世界を開示するのは哲学です。哲学者は言葉を介してイデアへの認識へと導くことができます。それにたいして造形芸術は、人の目を欺く虚像をつくりあげ、そのなかにとどまったままになりがちです。哲学者は言葉(対話)を介して真理に達するのを助ける産婆にも喩えられますが、造形芸術は創造された視覚的像そのものに価値を置こうとするまやかしを行い、天上のイデアに思いをはせることをしなくなるのです。したがって造形芸術は、イデアに対しては開示ではなく閉鎖を意味します。
これはいわゆる「偶像崇拝」あるいは「物神崇拝」のような類いと見なされているのだろうと思われます。
ルネサンス期におけるイデア概念。
ルネサンスにおいては、イデアを想起させるのは哲学者というよりも、むしろ造形芸術の側である、というふうに逆転されます。いまやイデアが造形芸術と結びつき、プラトン的なイデア概念が、プラトンの芸術観を否定しました。
ルネサンス期のとりわけフィレンツェの新プラトン主義の勃興とのルネサンス芸術の隆盛とも関連しているようです。