表参道ソフィアクリニック
Augustus Leopold Egg RA
London 2 May 1816 – 26 March 1863 Algiers)
夫が 妻の不貞を知るところとなりました。妻と男の間で交わされた手紙が、夫の手に渡ったのです。茫然自失の夫。泣き崩れる妻。夫は歳上で中年近くで冴えなく、妻はまだ若いのでしょう。この妻は身も心も男に捧げ恋い焦がれていたのでしょう。夫に知られてしまったこと、自分が不貞を働いていたこと、もう恋人に会うことが叶わなくなるであろうこと、それらが一挙に彼女に押し寄せています。娘たちがいる手前、絶望的な悲しみの中でも、声を立てずに床の上に倒れ込んでいます。娘たちは何事が生じたのかわからないままです。しかし姉のほうは、異変に気がつき母親を気遣うような眼差しを向けながらも、なんであるのかわからないようです。しかしそこはかとなく未来の自分の欲望と絶望を垣間見ているのかもしれません。
(テートギャラリ−2018年1月)