表参道ソフィアクリニック
2018年1月ナショナル・ギャラリーにて撮影。
23歳ごろの若きゲインズバラの作品です。この作品は有名ですが、あまり細かく描かれていません。さっぱりとした描きぶりで、割と早いスピードで、楽しんで、気負わず、自然体で描いたのではないでしょうか。
全体に、穏やかな色調です。描かれている背景は、穏やかな風景です。この二人の、穏やかな人柄と性格、穏やかな生活、穏やかな人生。総じて平和な印象があります。自分の領地での英国貴族の生活、そして自然の中での生活です。
2018年1月ナショナル・ギャラリー
未完成の作品です。とくに、女性の持っている手紙が描かれていません。
なぜかしら有名な作品です。この人たちはどの階層なのでしょうか。ジェントリつまりジェントルマンでしょうか。爵位を持つ貴族ではないのようです。
自らの地所を背景に夫婦の肖像画描かれています。穏やかに拡がる土地。その豊かさ、平和、こういった地所を一定以上に豊かさを維持していくのが彼らの望みであり、そしてまた誇りでもあります。彼らは、こののどかで美しく豊かな、そして理想的でもあり、あるいはアルカディア(理想郷)のような地所を絵画を通じて人々に見せて、誇っています。かれらは決して不当な搾取者ではなく、この地域を切り盛りしている、上質な経営者でもあります。もっとも彼らは実務は人に任せて自らは働きはしません。彼らは所有者であり、全体の方向性、方針を決める人です。彼らの穏やかな妥当性が、この地所の質へと反映しているように見えます。彼らが当時の社会の重要な担い手の階層でもあることをも伝えてくれます。この絵は現代から観ると歴史的な証言でもあるようです。
National gallery, 2020.1
Tate.2018.1
ゲインズバラは肖像画家として高名ですが、風景画もあります。
巧みに程良くうねる光、けぶるような雲。暗い世界を効果的に表現しています。
Tate.2018.1
これはヴァン・ダイク風です。衣装は、ロココの時代の当時としては、古いスタイルのバロック風つまりヴァン・ダイクの時代のようなデザインらしいです。
壮麗にして、気品があり、血の気が失せたよう吸血鬼並みの白い肌、たいへん美しい女性です。血の気が失せたような美人もヴァン・ダイク的な女性像ですが、ゲインズラバの方がよりニューセンスなお洒落とハイセンスな風格が漂っています。
(Frick Collection 2018)
テートギャラリー2018年1月にて撮影
テートギャラリー2018年1月にて撮影
ダイナミックな動きを感じさせます。どうやらダンスをしているようです。ダンス好きの女性なのでしょう。
男性を誘惑しているようにも見えます。
ドレスの水色の柄が美しいです。美しく魅惑的な胸元です。(この絵は細密に描かれているのは、表情と胸元です)
総じて筆触は粗くて素早いです。それでいて的確のようです。
(テートギャラリー2018年1月)
きれいきれい、美しい、いいね、いいね。カメラマンがモデルを撮影するときのような。カメラマンがエキサイティングしながら、モデルとなった女性を乗せるような。ダンスのポーズをとっていて、躍動的です。ゲインズバラは女性が好きで女性を美しく演出して描きます。
Tate, 2020.
2018年1月ナショナル・ギャラリーにて撮影。
ゲインズバラの豪華版装飾肖像画。有名な一品です。肖像画としてはとても大きなサイズです。この女性をゲインズバラは何度か描いています。
ここが自分の地所なのか、それとも旅行中の散策なのかはわかりません。ここは郊外か、田舎であるのは確かです。なぜこのような自然の豊かなところで、このように最先端のモードらしい都会的な装いをしているのでしょうか。思えば不思議な取り合わせです。これは、つまり一方では都会での消費、他方では田舎での散策という両方の観点を採っています。当時の貴族やジェントリ(紳士)は、このような二重の生活を送っていたのです。彼らは経済的に大変豊かで社会的にも高い地位にあって、そのことをアピールしています。
National gallery 2020.1
画面全体の明暗のコントラストはかなり高いです。硬くなく、ふわりとした柔らかい描写です。
夫は、キリリとした目をして、精悍であることが強調されています。彼は若いが威厳を保ち力強さもあります。妻はそんな夫に安心して、あるいはうまくフィットするように、夫に腕を預けています。
夫は自分の社会的地位、立場、機能をしっかりわきまえているようであり、それであるから妻は、そんな夫に安心して横に立ち腕を預けています。
もっともこの絵画のヒロインはこの美しい女性です。妻は夫の単なる添え物ではありません。逆に夫は妻の単なる添え物ではありませんが、脇役です。見上げる犬はこのヒロインを引き立てたせています。
National gallery 2018.1
テートギャラリー2018年1月にて撮影
水色のシルクの描写が美しいです。
人差し指を頭に向けています。これは知恵を表しているのでしょう。知恵というのは、理想を知ることであるとともに、レアリストとしての知恵でもあるのでしょう。
また人間世界と自然界が融合しています。これは自然趣味も反映したものであり、この肖像画の女性がそのような趣味を持っていたのかもしれません。例えば、JJルソーの思想です。
(テートギャラリー2018年1月)
ルーブルにあるゲインズバラの優れた作品です。これもまた大作です。